皆さん、こんにちは!
セカンドライフ支援機構行政書士の坂本です。
私は、過去のメルマガにおいてもご家族が集まる年末年始やお盆に各ご家庭の「相続」について話し合うことが相続対策の
第一歩であるとお伝えしてきました。なぜなら、相続がトラブルになってしまうご家庭の多くは家族間のコミュニケーション不足が要因となっているケースが多いからです。
また、ご両親とご兄弟などの家族全員で話すことの出来る機会はお盆、お正月などを除くと限られているからです。
そんな貴重な機会を無駄にしないためにも今回は相続対策の一つで有効な「生前贈与」についてお伝えします。
しかし、この生前贈与は相続対策として行なっても知識がないために無効になってしまうケースも少なくありません。
そこで、生前贈与が無効にならないための3つのケースについてお伝えします。
1 相続開始以前3年間の贈与
基本的に贈与でもらった財産に相続税はかかりませんが、1年間にもらった財産額が110万円の基礎控除額を超えると贈与税はかかります。しかし、財産をあげた人が贈与した日から3年以内に亡くなった場合は注意が必要です。つまり死亡日以前3年間にもらった財産は相続税の計算対象となります。基礎控除額以下なので贈与税は大丈夫と思っていても、相続税はかかってきます。
ただ、贈与税を払わなくて良い110万円以下が生前贈与のよくあるケースです。この場合、相続税も贈与税も0円のはずが課税されてしまうケースもあり得ます。そのため、贈与のタイミングには要注意です。なお、孫など相続人や受遺者以外への贈与は死亡日以前3年間でも相続税はかかりません。また、夫婦間で居住用不動産を贈与したときの配偶者控除や教育資金の贈与税の非課税措置などの制度を利用した場合も原則として相続税の対象から外れます。このような制度の活用を検討することも良いかもしれません。
2 実は親の名義預金だった
子の名義の預金も注意が必要です。通帳と印鑑を親が管理しているなら基本的に子の財産と認められません。つまり、毎年110万円以下の現金を振り込んでも贈与とはみなされません。なぜなら、民法上の贈与は次の3つの要件を満たしていることが求められるからです。
1)贈与につき当事者双方が合意していること
2)無償であること
3)もらう側は何の義務も責任も負わないこと
その通帳と印鑑が親の管理下にあると、子は口座のお金を自由に使えません。つまり、当事者双方の合意がなかったとみなされ贈与が成立しないことになります。贈与とするなら印鑑も通帳も子に渡すことが必要です。ポイントとして、贈与契約書を作成することで税務署への名義預金や定期贈与を否定する際の証拠として役立ちます。
3 他の相続人の遺留分を考える
生前贈与でありがちなのが特定の相続人だけに財産を贈与するケースです。将来の相続人が複数人いる場合に問題になります。生前贈与は「特別受益」に当たります。特別受益とは亡くなった人が相続人に特別に与えた利益です。そのため遺産を分割する際はこの特別受益を考慮して行う必要があります。また、相続人には「遺留分」があることを考えなくてはいけません。遺留分とは、相続人なら最低限相続できる財産の割合です。生前贈与の割合が一部の相続人に偏ると、他の相続人の遺留分を侵害しかねません。生前贈与をするならなるべく公平を心がけ、遺留分にも配慮する必要があります。特別受益のない相続人には生命保険金等で手当するといった対策も有効です。
今回は生前贈与が無効にならないよう注意すべき点についてお伝えしました。今回お伝えしたのは一般的なお話です。実際はご家族ごとに抱える事情が異なるため専門家にご相談することをお勧めします。
今回も、最後までお読み頂きありがとうございました。
次回も是非お楽しみに。
行政書士 坂本 圭士郎
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