みなさん、こんにちは!
セカンドライフ支援機構
行政書士の坂本です。
以前も、今年より相続に関する法制が大きく変わリ、
配偶者居住権の新設や自筆証書遺言に関する取扱い等について
お伝えさせて頂きました。
この大改正の中で、実は、今ままでも何度かお伝えさせていただきました
「遺留分」制度も大きな見直しがされる予定です。
遺留分制度とは?
遺留分とは簡単に説明すると法定相続人(兄弟姉妹除く)に
認められる最低限の権利です。
例えば、被相続人(亡くなった人)が遺言書に「私の財産を全て長男に相続させる」
と書いていた場合、長男以外の他の相続人は何も相続できなくなります。
そこで、民法には、長男以外の他の相続人にも
法定相続分の半分については、遺言書の内容如何に関わらず、
最低限相続できる財産を「遺留分」として保障しています。
ただし、兄弟姉妹には遺留分はありません。
※相続人が(父母・祖父母)のみの場合は法定相続分の3分の1となります。
遺留分の金銭債権化
今まで遺留分の返還方法を決める場合、遺産が
金銭や不動産、投資信託などさまざまなので、
その計算がとても複雑化する傾向がありました。
今までの現行法では、例えば遺留分を侵害する
贈与等の対象が自宅や土地などの不動産の場合、
贈与を受けた者と遺留分を主張するもの(以下、「遺留分権利者」)との共有状態となり、
その不動産の処分や利用に大きな制約を受けていました。
そして、遺留分権利者は、相手方に対してその一部持分の
返還しか求めることができず、遺留分侵害額を金銭で
支払うよう請求することはできませんでした。
つまり、現物で返還するか、金銭で弁償するかは相手方にしか
選択肢がありませんでした。
そこで、改正法では、遺留分返還方法については、
遺留分減殺請求という形ではなく、遺留分を侵害された額に
見合うだけの金銭を請求することの出来る権利となります。
この改正で、遺留分を金銭で返還してもらえ、
かつ計算も簡単で不動産が共有になることもなく、
後々まで問題が残る恐れも少なくなります。
この遺留分減殺請求権が金銭債権化されることにより
事業承継対策がしやすくなることも大きなポイントです。
生前贈与の持ち戻す期間を相続開始前の10年間に限定
また、相続が争続とならないために遺留分制度のもう一つの
大きなポイントがあります。
現行では、遺留分の計算上算入される生前贈与などの贈与の
範囲について、相続人に対するものか否かで異なる取扱いがされていました。
相続人以外に対する贈与は、原則として相続開始前の1年間にされた贈与に限らていましたが、
相続人に対する贈与のうち特別受益に該当する贈与は、特段の事情がない限り、
相続開始の何年前になされたものであっても、
基本的に遺留分算定の基礎となる財産に含めていました。
改正法では、この相続人に対する贈与について、
相続開始前 10 年間にされたものに限って算入するとし、
現行の取扱いよりその範囲を限定することとされています。
最後に今回の大きな改正は相続の考え方や方法が大きく変わり
私たちにとってより良い「相続」を迎えられると良いですね。
今回も、最後までお読み頂きありがとうございました。
次回も是非お楽しみに。
行政書士 坂本 圭士郎
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